なんで私がしきりにあの子を田舎へ連れ出したいという願望を持つのか、軽井沢へ行ってわかった。
軽井沢に吹く浅間おろしのひんやりとした風につつまれて
東京にはない起伏の山々を目に入れて
そうして五感でその土地を味わってみて
私はあの子の五感が動くところを見てみたいのだと思った。
風があの人の頬や肩を撫でるところも
水があの人の足にまとわりつくところも見てみたい。
山と雲の交わる部分をなぞるまなざしを見てみたい。
普段とは違う環境で、あの人がどんなことをしてみようと思いつくのかを知ってみたい。
だからそこに私はいなくてもいいのかもしれない。
ただそんな場所で、どんな旋律の口笛を吹くのか
どんな感想を持つんだろうか
何を思うんだろう、口が開いたら何を言うんだろうってすごく気になる。
私は旅行が好きだから、そう思うのかもしれないね。